節税対策

節税対策を考える前提として

節税対策は相続税が課税される事案について必要になります。相続が発生したときに相続税が課税されることになるのかどうかを把握しておきましょう。ここ数年、相続税を課税された事案は全相続事案の4%台前半で、それほど多くはありません。

相続税が課税される可能性があると思われる方は、専門家に相談して税額の試算をすることをお勧めします。相続税を算出するためには、相続財産の範囲、評価、控除額、非課税枠などの判断に専門的知識が必要になります。専門家に検討してもらったら、意外にも課税の心配がなかったり、逆に課税される可能性が高かったりすることがあります。税制の改正があったときや、財産が大きく変動したときなどには、その都度、専門家に相談するとよいでしょう。

相続税が課税される可能性があるのであれば、税額がなるべく小さくなるように財産を管理・処分し、分割方法を考える必要があります。誰がどの財産を相続するかで税額が変わってくることもありますので、遺言で分割方法を指定したり、遺産分割協議をまとめる場合には、注意が必要です。

これまで多くの相続案件を手がけてきた所属弁護士とファイナンシャルプランナー・相続アドバイザーが、協力税理士とともに節税対策にあたります。安心してご相談ください。

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節税対策の例

相続税は、課税価格から基礎控除額を差し引いた金額(課税遺産額)に対してかかってきます。
したがって、課税遺産額をいかに下げるかが、節税対策のポイントです。

課税価格  相続財産
 +みなし相続財産
 +相続財産とされる贈与財産
 -非課税財産
 -債務・葬祭費
基礎控除額
課税遺産額 ※ この金額を小さくする

課税価格を減らす

課税価格とは、「(相続財産)+(みなし相続財産)+(贈与により相続財産とされるもの)-(非課税財産)-(債務・葬祭費)」のことです。したがって、それぞれの要素を増減させることによって課税価格を減らすことができます。

相続財産を減らす

相続財産は、被相続人の不動産、現預金、有価証券などといった資産のことを言います。これを減らす方法としては例えば次のようなものが考えられます。

a. 相続人や孫に贈与をする

1年につき110万円が基礎控除とされ、贈与税がかかりません。基礎控除を利用してあらかじめ暦年贈与をすれば、相続財産を減らすことができます。

b. 贈与税の特例を使う

住宅取得資金の贈与、贈与税の配偶者控除を利用すれば、非課税枠の範囲内で贈与税がかかりません。これにより相続財産を減らすことができます。

c. 不動産の評価を下げる

小規模宅地等の特例を利用すれば、土地の評価額が80%安くなります。
また、更地に賃貸マンションなどを建てれば、土地の評価額が貸家建付地として減額されるうえ、建物は固定資産税評価額で評価されるため、建築費相当額の現預金を持ち続けるよりも相続財産を減らすことができます。

みなし相続財産の利用

みなし相続財産とは、死亡保険金、死亡退職手当金、生命保険契約に関する権利です。死亡保険金と死亡退職手当金については、それぞれ法定相続人の数×500万円の非課税枠がありますから、課税価格を減らすことができます。

相続財産とされる贈与財産

相続財産とされる贈与財産は、相続前3年内の暦年課税贈与財産、相続時精算課税制度を利用した贈与財産、贈与税の納税猶予制度により贈与された非上場株式です。相続税精算課税制度を利用して値上がりが見込まれる資産(例えば未公開株)や収益物件(借家など)を贈与しておけば、資産を効果的に次世代に受け継ぐことができます。

非課税財産の利用

墓地や仏壇などの非課税財産は生前に購入しておくべきです。ただし、美術品と見なされるような仏壇仏具は課税される恐れがあります。

基礎控除額を増やす

養子縁組をして法定相続人の数を増やすことによって、基礎控除額を増やすことができます。
ただし、法定相続人の数に含めることができる被相続人の養子の数は、被相続人に実子がいる場合は1人、被相続人に実子がいない場合は2人までに制限されています。この制限は、死亡保険金と死亡退職手当金の非課税枠を計算する際も同様です。

以上の例は当サイト上での説明のために概要を示したもので、厳密な要件や細かな注意点などは省略しています。また、平成25年6月時点の法令を前提にしています。実際に節税対策をお考えの方はさくら総合法律事務所までご相談ください。所属弁護士、ファイナンシャルプランナー、相続アドバイザーが、協力税理士とともに節税対策にあたります。当法律事務所へご相談いただかない場合には、弁護士、税理士など専門家に相談のうえ、自己の判断と責任において実行してください。

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