争族対策
相続対策のポイント
相続対策の主なポイントは、「争族対策」「節税対策」「納税資金の確保」の3つです。
それぞれ適切に対策を取っていれば、円滑・有利に相続を行うことができます。
さくら総合法律事務所では、お客さまにとっての一番良い方法を、弁護士とファイナンシャルプランナー・相続アドバイザーが協力してアドバイスします。
争族対策の重要性
「相続対策」というと、まず「節税対策」が思い浮かぶかもしれませんが、最も重要な相続対策は相続人同士が争う事態を避けることです。家族、親族である相続人同士が遺産を巡って争う「ソウゾク」は、「相続」ではなく「争族」という字がぴったりですから、「争族対策」と呼ぶことにします。
個人の権利意識の高まりや、景気の低迷といった社会的背景から、全国の家庭裁判所に申し立てられる遺産分割調停事件は年々増加しています。「争族」になるのは必ずしも遺産が高額の事案ばかりではありません。むしろ、家庭裁判所で争われている遺産分割事件の多くは、遺産額が相続税控除額の範囲内で課税されない事案です。必ずしも遺産が多額でなくても「争族」は起こるのです。また、遺産が多額なほど、審理期間が長くなり、「争族」は激しくなります。したがって、遺産が多額でないと思っても「争族対策」が必要ですし、遺産が多い人は慎重に「争族対策」を準備する必要があると言えます。
遺産分割協議にあたっては、相続人が、被相続人から生前贈与など特別な利益を受けたか(特別受益)、被相続人を介護したり家業を手伝ったりして被相続人の資産を増やす特別な貢献をしたか(寄与分)が問題になるので、いったん「争族」が始まると、相続人同士が過去のできごとを持ち出して不平や不満をぶつけ合って感情的に対立し、修復不可能な溝を残すことが少なくありません。残された愛する家族が、自分の死後に、自分が残した財産を巡って、いがみ合い、憎しみ合うことにならないために、まずは「争族対策」をすることが大切なのです。
「争族対策」は、節税という観点からも重要です。相続税の申告期限は被相続人死亡後10か月で、申告期限までに届出が必要となる税制上のメリットもあるからです。
争族が起きないために
「争族」が起きないためには、自分が死んだ後、家族が遺産をどのように分けるか、あらかじめ決めておくのが効果的です。そのためには、遺言を残しておく必要があります。
遺言があれば、遺産は遺言で定められたとおりに分割されます。(ただし、遺言が相続人の遺留分を侵害している場合に遺留分侵害額請求権が行使されると、遺言は遺留分を侵害する限度で失効することになるので注意が必要です。)
遺言が無ければ、遺産は、相続人の協議によって分割されます。
遺言がない場合の相続人の相続分は、民法で決められています(これを「法定相続分」と言います)。
しかし、遺産の大部分が自宅不動産や事業用資産の場合には法定相続分どおりに分割するのは簡単ではありません。
また、遺産に不動産や非上場株式のように評価が困難な財産が含まれていると、評価を巡って不満が生じることになります。
不動産のように、ものの個性によって皆が欲しがったり敬遠したりする財産が含まれている場合には、誰が何を相続するか争いになるでしょう。
さらに、相続人の中に、生前贈与等の利益を受けたひとや、被相続人と同居したり介護したりした人がいる場合には、感情的な対立に発展するおそれがあります。
自分の死後に大切な家族がいがみ合うことがないように、遺言を残しておくべきです。遺言が無効になったり、遺留分を侵害してかえって「争族」の種になったりすることがないよう、弁護士に相談した上で作成することをお勧めします。
遺言とともに家族へのメッセージを残すことで、「争族」を避けることがより期待できます。遺言の条項の中に書き込むこともできますし、相続人宛の手紙やメッセージビデオを残されるのもひとつの方法です。当法律事務所では遺言とともにこのようなメッセージを残すお手伝いもいたします。お気軽にご相談ください。